器官離脱のメカニズムに見られる植物種間の保存性
器官脱離は植物に特異的な活動であり、老化や損傷した場合、あるいは十分に成熟した場合にその器官を植物本体から切り離す。この器官脱離は、器官と植物本体の境界領域に形成される、離層(abscission zone; AZ)から生じる。多様な植物において花柄の離層構造の形成がみられるが、異なる植物種で離層発達過程がどの程度保存されているのかは明らかになっていない。本号で、中野ら(pp. 1097-1106)は、トマトの花柄離層構造の発達が阻害されるjointless変異株において、リンゴの遺伝子MdJbを異所的発現させることにより、離層構造の形成が回復することを実証した。この結果から、トマトにおいて見出されていた離層構造形成の制御が、リンゴにおいて、さらに他の植物種においても保存されている可能性が示唆される。表紙はリンゴとトマトの脱離後の果柄を示す。
写真提供:伊藤康博(農研機構・食品総合研究所)
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