カルパインによる細胞分裂面の制御と幹細胞の活性維持
細胞が位置情報を感受し、その情報をもとに細胞分裂や分裂面の方向を統合的に制御することは、適切な幹細胞のコントロール、ひいては正しい成長や発生に重要であることがわかっている。Liangらは、この過程に関わる因子としてDEK1を見いだし、この号に報告している (pp. 1855 – 1866)。DEK1はカルパインをコードしており、これを欠くシロイヌナズナ変異体は初期胚発生において、軸形成、細胞のアイデンティティおよびメリステム機能に関わるマーカーの発現が変化したり、微小管のパターンや細胞の形に異常を生じる。これらの結果から、DEK1が微小管による分裂面の決定をコントロールしていること、さらに植物におけるカルパインの一般的な機能が微小管の組織化と関連している可能性が示唆される。
表紙の画像はdek1変異体の胚において微小管がランダムに配向したり、太く束化したりする様子を示している。画像はLene Olsen Hult (NMBU) と Roy C Brown (University of Louisiana) により提供された。
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