ランにおけるLEAFYオルソログの機能
植物に特異的な転写因子LEAFY (LFY)は、種々のモデル植物において、花成誘導のインテグレーターとして、また花の発生の制御因子として働くことが知られている。しかし、多様な花の形態を持つラン科の植物における機能は、これまでに研究されて来なかった。JangはコチョウランのLFY オルソログPhapLFYが花序分裂組織で発現し、花芽分裂組織の決定と花器官の発生に影響を持つことを見いだした(pp. 2234-2247)。さらに、PhapLFYはシロイヌナズナではlfy変異体を機能的に相補することが可能であり、イネでは早期の出穂を引き起こすことが明らかにされた。これらの結果は、花の発生に関する私たちの理解を広げ、さらにランの育種に有用な分子ツールを提供した。表紙の画像(上側のパネル)はPhapLFYをノックダウンした花の表現型を示しており、リップ(唇弁)の色素沈着が低下したり、萼片のクロロフィル含量が増加したりする様子が示されている。また、下側のパネルは新たに出現した花序あるは伸長中の花序のメリステムにおけるPhapLFY mRNAの発現をin situハイブリダイゼーションにより調べた結果である。
画像はSeonghoe Jang (BCST/ABRC, Academia Sinica and Institute of Tropical Plant Science, National Cheng Kung University, Taiwan)により提供された。
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