酸化ストレスによるプログラム細胞死(PCD)の重要なステップが明らかに。刺激に対する植物の多様な応答において活性酸素種がシグナルあるいは傷害因子として作用することが知られているが,活性酸素種の作用機構は十分解明されていない。Biswas and Mano (pp. 1432-1442) は,過酸化脂質の分解産物であるアクロレインや4-ヒドロキシノネナール(HNE)といった活性カルボニル種(RCS)が,カスパーゼ3様プロテアーゼ(C3LP)を活性化することでPCDを引き起こすことを見いだした。この研究はRCSが植物の活性酸素シグナル経路の鍵物質であることを示すとともに,活性酸素からPCDにいたる植物の酸化傷害過程を初めて明確に説明したものといえる。
表紙の写真はアクロレインを与えたタバコ培養細胞で進行するPCDを示している(FDA蛍光を示さないものが死細胞である)。鳥取大学大学院連合農学研究科Md. Sanaullah Biswas氏および山口大学総合科学実験センター真野純一氏提供。
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