Plant & Cell Physiology
2016 Vol.57 (9)
植物と絶対寄生病原菌のインターフェース膜には膜交通制御因子RAB5が局在する
RAB5は、膜交通の制御因子であるRAB GTPaseの一員であり、エンドソーム周辺における膜交通経路を制御している。絶対寄生の病原糸状菌および卵菌は、宿主植物のアポプラスト領域に、吸器と呼ばれる特殊な感染菌糸を形成する。稲田ら(pp. 1854-1864)は、この吸器を取り囲む宿主植物由来のインターフェース膜にRAB5が局在することを見いだした。一方、非感染細胞ではRAB5とともにエンドソーム上に局在するRAB5の活性化因子VPS9aは、インターフェース膜における局在性を示さなかった。これらの結果は、植物—病原体間のインターフェース膜が非常に特殊な性質を持つことを示している。この発見は、宿主植物と病原菌との相互作用機構を明らかにするいとぐちとなると期待される。
表紙の写真は、べと病を引き起こす卵菌Hyaloperonospora arabidopsidisに感染した宿主植物シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)の子葉(右上)と、うどんこ病を引き起こす糸状菌Golovinomyces orontiiに感染したシロイヌナズナの成熟葉を観察したもの(左下)。共焦点レーザー顕微鏡像は、吸器を取り囲む植物由来のインターフェース膜に、GFPラベルされた陸上植物特異的RAB5、ARA6(緑)が局在することを示している(うどんこ病菌の菌糸および吸器は赤色の色素で染色してある)。卵菌の像は東京大学(現所属筑波大学)の別役重之博士と基礎生物学研究所上田貴志博士提供、うどんこ病菌の像は奈良先端大稲田のりこ博士提供。
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