ペチュニアの自家不和合性にはCUL1-Pが必須である
Cullin1はSCF型E3-ユビキチンリガーゼのコンポーネントである。S-RNase型自家不和合性(SI)は、花粉側機構を担当するSCFSLF複合体によって非自己個体由来の雌ずい因子S-RNaseを特異的に認識、ユビキチン化し、解毒することで他家受粉を保障する非自己認識システムであることが示されてきたが、このSCFSLFにCullin1のいずれのパラログが関与するのか議論の余地があった。久保ら(pp. 2403-2416)は、ナス科の自家不和合性種ペチュニア(Petunia hybrida)において全5個のCullin1sを同定し、その中の一つPhCUL1-Pだけが必須のコンポーネントとしてSCFSLFに関与することを、in vitroおよびin vivoタンパク質相互作用アッセイおよび人工マイクロRNAを用いたノックダウン実験によって明らかにした。さらに、ナス科と同様のS-RNase型SIシステムを持つバラ科植物のゲノムにはCUL1-Pのオーソログが存在しないことから、ナス科とバラ科ではSIのためのメカニズムが独立に獲得されてきたことが示唆された。
表紙の写真は、自家不和合性P. hybridaの花。奈良先端科学技術大学院大学の久保健一博士の提供。
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