植物の根系は再生能力が高く,根切りによっても容易に回復することが知られている。時としてこのような根の再生は植物の生存に必要であり,植物の頑健性に大きく寄与していると考えられるが,その分子メカニズムはこれまで未解明であった。2017年の10月号で徐(シュ)ら(pp. 1710-1723)は,根切りによって側根数が増加(Root-Cutting induced lateral root Number (RCN) )すること,RCNはオーキシン極性輸送阻害剤に耐性であるが,オーキシン合成阻害剤には感受性であることを報告している。またRCNは,オーキシン合成酵素YUCCA9の活性化とともに,冗長的な同族遺伝子によって制御されること,それによるオーキシン量の増加とともにオーキシン極性輸送も協調的にRCNを調節していることが示された。
園芸,農業における根切りは重要な技術であり,盆栽の維持管理には根切りが欠かせない。表紙は根切りの応用例としての盆栽とシロイヌナズナの根を背景としたRCNの信号伝達経路を示している。綿引雅昭(北海道大学・大学院理学研究院)提供。
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