CCR-NOT複合体は,真核生物に広く保存された遺伝子発現制御のマスターレギュレーターと考えられる。この複合体には転写から翻訳までの様々な制御に関わる因子が含まれている。しかしながら,シロイヌナズナにおけるCCR-NOT複合体の生理学的機能はいまだ明らかとなっていない。元村と荒江ら(712-721ページ)は,この複合体の足場タンパク質であるAtNOT1が,花粉の正常な発達と発芽能の獲得に必須であることを明らかにした。この発見は花粉の成熟に必要な遺伝子発現制御の研究に新たな視点を提供するものである。
表紙の画像は花粉中の栄養核と精核の位置が異常となったatnot1変異株の花粉(左)と正常な核の位置を示す野生型花粉(右)。この写真は立命館大学の元村 一基氏から提供されたものである。
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