植物や藻類の葉緑体と根足類のクロマトフォアは,それぞれ,約15億年前と1億年前に起きたシアノバクテリアによる細胞内共生を含む複雑な過程によって生じたと考えられている。葉緑体と比較して,クロマトフォアはシアノバクテリアの形質をより多く保持していると期待される。実際,シアノバクテリアタイプの脂質代謝系が完全に存在することを佐藤ら(869 - 881ページ)は明らかにした。しかし,新たに同化された光合成産物は速やかかつ選択的にクロマトフォア外の脂質合成に振り向けられていた。こうした結果は,クロマトフォアが独立したものではなく,細胞の代謝装置の一部に統合されていることを示している。
表紙の画像はPaulinella micropora MYN1細胞の縦断切片の透過型電子顕微鏡写真で,珪酸スケールに覆われていることがわかる。細胞中央には,多数の同心円状のチラコイド膜を含む,長く伸びて曲がった二つのクロマトフォアが,いくつかの断面として見えている。この写真は東京大学の佐藤 直樹氏から提供されたものである。詳細はSato et al.のFig. 1Bを参照のこと。
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