オオムギの白穎(alm1)変異体は穂の顕著なアルビノを示し、穎(えい)は芒(ぼう、のぎ)との連結部が不連続に緑色になるのを除きクロロフィル色素を欠く。武田ら(447〜457ページ)は、遺伝解析とポジショナルクローニングによりオオムギalm1変異が2個あるGOLDEN-2-LIKE転写因子のうちの一方(HvGLK2)をコードする遺伝子座の異常によることを示した。alm1.g変異は穂の光合成を34%低下させ、そのため粒重が15.8%低下したとみられる。さらに、HvGLK2とそのホモログHvGLK1の発現解析から、HvGLK2が独自の冗長しない役割を担うことを示した。HvGLK2変異体はオオムギでGLK転写因子ネットワークを細密に解明するのに有用な遺伝学的ツールになるとみられる。
表紙の画像は,オオムギの出穂約2週目の穂で、野生型(左)とalm1.g変異体(右)である。変異体では主列の内穎と外穎がアルビノであるが、他の組織は緑色である。画像は武田真氏(岡山大学)より提供された。
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