Plant & Cell Physiology
2021 vol62 (6)
単細胞性の真核藻類(微細藻類)にはゲノム組成と細胞内構成が単純な種が多く存在する。多くの微細藻類は植物よりも速く増殖し、その培養においては比較的均一な細胞集団が得られる。したがって微細藻類は、細胞レベルまたはそれより微細な階層を対象とした研究に適している。また近年、様々な系統の微細藻類において遺伝的改変技術が開発され、新たな研究の潮流が生まれている。イデユコゴメ綱に属する単細胞紅藻Cyanidioschyzon merolaeは、遺伝的改変技術が開発されている真核光合成生物の中で、最もゲノムと細胞内構成が単純な生物である。宮城島と田中(926~941ページ)は、本藻類の研究に適した特徴、これまでに開発された研究手法および様々な分野における利用例を紹介している。
表紙の写真は、硫酸酸性温泉水が流れている場所(群馬県草津町)に優占増殖しているイデユコゴメ綱藻類(流水底面の緑色のマット、写真は国立遺伝学研究所の藤原崇之氏提供)の様子と、C. merolae細胞の顕微鏡写真(撮影者は宮城島)である。
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