植物の細胞壁は主に多糖類、フェノール化合物、タンパク質を含むさまざまなポリマーで構成されており、一般的に植物細胞の物理的および構造的な特性を決定している。最近の研究によって、植物にさらなる可塑性を与え、植物が様々な環境刺激に応答できるようにする,ストレスの感知や耐性機構にも細胞壁の組成が重要であることが明らかになってきている。出村拓氏、大谷美沙都氏、小竹敬久氏、Jenny Mortimer氏が取りまとめた本特集号では、招待レビュー論文と原著論文を通して、細胞壁研究における最新の先駆的な発展を紹介している(論説、1787-1790ページ)。多くの研究が、持続可能なカーボンニュートラルを目指すためのバイオマス資源として植物を開発するために、細胞壁の特性を設計することに注力している一方で、これらの論文では細胞壁研究において発展している分野を強調し、植物の生体力学の理解を対象にした学際的なアプローチについても扱っている。
表紙イメージは、樹木の生体力学解析に用いられた Zelkova serrate (ケヤキ)の写真である。本研究は文部科学省 科学研究費補助金 新学術領域研究「植物の力学的最適化戦略に基づくサステナブル構造システムの基盤創成 〜植物構造オプト〜」(JP18H05484、JP18H05489、JP18H05495)の支援を受けて行われた(画像提供 栗田悠子氏)。
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