葉緑体が活性酸素種によってダメージを受けると、細胞保護や養分の再分配のために葉緑体が分解されることが知られているが、葉緑体分解の経路についてはほとんど分かっていない。Fisherら(248-264ページ)は、活性酸素種の一つである一重項酸素が葉緑体の膨張と内部構造の変化、そして分解に先立って液胞との相互作用を引き起こすことを明らかにした。このような構造変化は、細胞がダメージを受けた葉緑体や老化した葉緑体を狙ってターンオバーのために分解するメカニズムのひとつである可能性が示された。
表紙イメージはシロイヌナズナ芽生え(3日目)の葉肉細胞内の葉緑体を示している。この葉緑体は光酸化を受けて、分解の標的となっている。写真のような液胞内部への葉緑体の突出や”blebbing”とよばれる小胞形成が、葉緑体の分解メカニズムに関与している可能性が示された(画像提供 University of Arizona Jesse Woodson氏)。
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