ケイ素は植物の有用元素で、様々なストレスを軽減できる。特に、典型的なケイ素集積植物であるイネにとって、ケイ素の高蓄積は安定多収に不可欠である。イネの効率的なケイ素吸収は、根の外皮と内皮の遠心側と向心側にそれぞれ偏在する2種類のケイ酸輸送体OsLsi1とOsLsi2が担っている。本号で小西ら(699-712ページ)は、これら輸送体の極性局在のメカニズムについて調べ、ケイ酸輸送体の極性が外皮や内皮のような特定の細胞でのみ示されること、OsLsi1とOsLsi2の局在パターンが外皮と内皮で異なることを見出した。さらに詳しい極性制御のメカニズムはまだ不明であるが、クラスリン依存性エンドサイトーシスはOsLsi1とOsLsi2の極性局在に関与しないことを明らかにした。
表紙イメージは、イネの根横断切片の二重免疫染色による、外皮(上)と内皮(下)におけるOsLsi1(緑)とOsLsi2(マゼンタ)の細胞内局在を示す。外皮ではOsLsi1とOsLsi2のシグナルがわずかながら重なり合っているのに対して、内皮ではカスパリー線がOsLsi1とOsLsi2のシグナルを分断している(画像提供 岡山大学資源植物科学研究所 小西範幸氏)。
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