イネ科植物で小花の護穎から針状に伸びる「芒」は、食害からの防御等の環境適応に有利に働く構造であるが、例えばイネでは栽培化の過程で不要なものとして取り除かれてきたことがわかっている。Takanashiら(901-918ページ)は、ソルガムにおいて芒に関する量的形質遺伝子座(QTL)解析およびゲノムワイド関連解析(GWAS)を行い、三番染色体に座上し芒伸長抑制に機能する転写因子をコードする遺伝子DOMINANT AWN INHIBITOR (DAI) を同定した。詳しい解析の結果、DAIは十番染色体上に存在するパラログ(DAIori)の遺伝子重複によって誕生した比較的新しい遺伝子であることがわかり、またプロモーターを含むDAIを導入した有芒イネ系統カサラスにおいても芒が消失することから、DAIの芒抑制機能は異なる植物種間でも保存されている可能性が示唆された。
表紙イメージは、右から順に、有芒イネ系統(カサラス)、DAIを発現させたカサラス形質転換体、有芒ソルガム系統(RIL232)、およびDAIを発現させたRIL232形質転換体の穂からサンプリングした二次枝梗の様子を示す(画像提供 東京大学 髙梨秀樹氏)。
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