リン酸化によるタンパク質の修飾は、様々な環境ストレスに応答して細胞の増殖を制御する上で重要な役割を担っている。例えば、dual-specificity tyrosine phosphorylation-regulated kinases (DYRK) は真核生物に広く保存されており、栄養状態に応答して機能することが知られていたが、陸上植物における生理機能は明らかではなかった。新川ら(1063-1077ページ)は、苔類ゼニゴケにおいて、DYRKをコードする遺伝子を4個同定した。さらにYak1サブファミリーに属するDYRKタンパク質をコードする遺伝子MpYAK1の欠損変異体の解析により、MpYAK1が葉状体における細胞分裂、杯状体内における無性芽の休眠、光条件に応じた生殖器誘導制御、そして窒素欠乏に応答した仮根伸長に必要であることを明らかにした。
表紙イメージは、Mpyak1欠損変異体の杯状体内における無性芽の走査型電子顕微鏡写真である。野生株の無性芽は杯状体内において休眠するのに対して、このMpyak1欠損変異体の無性芽では杯状体内で発芽し、仮根が形成されている(画像提供 京都大学大学院生命科学研究科 新川はるか氏)。
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