植物成長調節物質(Plant growth regulators: PGRs)の代表として植物ホルモンが知られているが、近年、植物ホルモンの合成あるいは輸送に対する様々な阻害剤やホルモン受容体遮断剤が、更なる植物の重要な成長調節物質として注目を集めている。PGRsの使用が農業、ブドウ栽培、園芸において普及し始めている一方で、様々な植物種において、PGRsの作用の根底にある複雑なシグナル伝達ネットワークと調節プロセスの解明に焦点を当てた研究が現在進行中である。本特集号では、作物収量の向上や生物的および非生物的ストレスへの抵抗性を高めるための取り組みなど、この興味深い分野における最新の研究を紹介している(論説、Tripathiら、1757-1760ページ)。
表紙イメージは、パプリカ(Capsicum annuum L.)果実の成熟過程のうちの2つの段階を示している。この過程において、緑色の未熟な果実が赤色の成熟した果実へと劇的に変化する。代謝レベルではメラトニンがこの果実の成熟過程を調節するシグナル伝達分子として明らかにされている。詳細はAghdamら(1764-1786ページ)を参照されたい(画像提供 スペインCSIC Francisco J. Corpas氏)。
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