ベンサミアナタバコはナス科の一種であり、植物科学、とりわけ植物病理学の分野や生物間相互作用の研究において、モデル実験系として広く利用されている。しかし、ベンサミアナタバコは複雑な異質倍数性ゲノムをもっており、そのゲノム構造の詳細は長らく明らかにされていなかった。黒谷ら(248-257ページ)は長鎖塩基配列を解読する最新の次世代シークエンス技術を用いてde novo 全ゲノムアセンブリを行い、ベンサミアナタバコのゲノムアセンブリとアノテーションを改善することに成功した。この成果によって、今後確実にベンサミアナタバコがより広い研究分野において利用されるだろう。
表紙イメージは、開花したベンサミアナタバコ(N. benthamiana)を示している。円形の図はベンサミアナタバコとタバコ(N. tabacum)のゲノム構造比較;内部の青い環はN. sylvestrisとの高い相同性を示す領域のカバレッジ;中央の赤い環はN. tomentosiformisのカバレッジ;外側の青と緑の半分の環はそれぞれN. tabacum の染色体とN. benthamianaのスキャフォールド;中央の青と赤の線はそれぞれN. sylvestrisとN. tomentosiformisにおけるSSRマーカーの連鎖を示している(画像提供 名古屋大学生物機能開発利用研究センター 黒谷賢一氏)。
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