Plant & Cell Physiology
2023 vol64 (12)
植物の代謝産物は、その化学的・構造的特性および全体的な植物への影響に基づいて、ホルモン、または一次代謝産物や特化(二次)代謝産物として分類されてきた。従って、これらの代謝産物は、植物の成長や発生、そして環境応答に必要であるか、あるいは代謝経路の単なる副産物であり重要な役割を持たないと一般的に考えられてきた。しかし、最近の生理学的、生化学的、進化学的研究に基づく新たな証拠は、これらの代謝産物の多くが広範囲にわたり多様で重複する機能を持つことを明らかにし、植物内でのこれらの分類と役割の再評価につながっている。本特集号では、自然界に見られる代謝産物の構造的な多様性をもたらした代謝酵素の進化を垣間見ることができる3本の総説と7本の原著論文を掲載する。詳細については、平井らによるEditorialを参照のこと。
表紙画像は、滋賀県大津市にある野生のモクレンの木(シデコブシ;Magnolia stellata)。収斂進化を経て、モクレンの花は、イチョウのように古くから存在するが関連性はない植物種と共に、ゴマ(シソ目)に一般的に見られるメチレンジオキシ架橋を含むセサミン関連リグナンという植物特化代謝産物を作る。詳細については、小埜と村田による総説を参照のこと。
【画像提供:小埜 栄一郎氏(サントリーグローバルイノベーションセンター)】
PCPギャラリー
【画像提供:小埜 栄一郎氏(サントリーグローバルイノベーションセンター)】