葉緑体(色素体)とミトコンドリアは細胞内共生した細菌に由来し、植物細胞のエネルギー生産を中心とした重要代謝を担う。その産物は植物自身のためだけでなく、地球上の広範な生態系の維持にも貢献している。従来、これらの細胞小器官の解析や操作は困難であったが、最近の技術の進歩がその隠された特性を探り、また作物改良の目的でその特性を変化させる機会を提供している(例えば、光合成の改良を通して最終的には作物収量を増加させるなど)。
本特集号は、これらのオルガネラの複雑で重層的な制御を理解する上での最新の進歩に焦点を当て、有村慎一、Iris Finkemeier、Kristina Kühn、竹中瑞樹、らによって編集された。今号の特集号は7本の総説と7本の研究論文が掲載されている。 本号では、これらの謎めいた細胞質のゲノム/遺伝システムとオルガネラの恒常性についての最新の知見を探る7本の総説と7本の研究論文を掲載している(有村らによる論説を参照)。
表紙図:ミトコンドリア(白)と葉緑体(緑)のイメージ図、ウチダヒロコ氏によるペーパークイリング作品
PCPギャラリー