被子植物の精細胞は自ら泳ぐことができず花粉管の内部を輸送され、卵細胞の近くまで到達した花粉管の先端が破裂することで放出される。生体内においてこの花粉管破裂は厳密に制御されているがその全容は明らかになっておらず、人為的な花粉管破裂の制御にも技術的な課題が多く存在した。本研究において、杉ら(Pages 704–707)は花粉管先端への青色光照射がCa2+の流入と花粉管破裂を誘導することを明らかにした。この青色光照射による効率的な花粉管破裂誘導法は花粉管破裂直後に素早く起こる精細胞活性化機構の解析に貢献するツールとなることが期待される。
表紙イメージは、カルシウムセンサーであるGCaMPを発現したシロイヌナズナの花粉管の写真である(擬似カラー:Fire LUT)。semi-in vivo系を用いて3時間培養することで伸長させた花粉管に対して、シアンの8角形で示した領域に青色光を照射して花粉管破裂を誘導した。【画像提供:杉 直也氏(横浜市立大学木原生物学研究所)】
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