カルシウムは植物の中に2番目に多く存在する金属イオンで、植物の生存にとって必須の元素です。1960年代の初めからの多くの分子論的な研究の努力にもかかわらず、植物のカルシウム吸収機構のメカニズムの多くは不明のままでした。74-84ページでキムらは哺乳類のイオンチャンネル共役型グルタミン酸受容体のホモログ (AtGluR2) をシロイヌナズナより単離したと報告しています。その中で、シロイヌナズナに AtGluR2 の遺伝子を導入し、大量に発現させると、茎頂や葉の先の壊死、葉の変形、矮小化した茎がたくさん生えるなどのカルシウム欠乏の症状がでると報告しています。
写真の右は正常なシロイヌナズナ、右上は、AtGluR2 を大量に発現しているシロイヌナズナの芽生えです。茎頂が壊死を起こして黄化して葉柄が消失しているのがわかります。右中央の写真は土に植えたものです。曲がって変形した葉と未発達の側芽が観察されます。左下の写真では。若い葉の先と縁の壊死、矮小化した花茎がたくさん藪のように生えているのがわかります。
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