セルロース合成酵素複合体は凍結割断法によって電子顕微鏡下でロゼット型の構造として視ることができる。この複合体は、しかし、試験管内では非常に不安定であるため、植物のセルロース研究は何年にも亘って、なかなか進展しなかった。近年になって、セルロース合成酵素触媒サブユニットをコードすると考えられるCesA遺伝子群が発見されたことにより、漸く、セルロース合成の生化学過程を分子レベルで解剖することが可能になった。
本誌12月号では Doblin ら (1403-1420ページ) が、シロイヌナズナのCesA変異体を用いた機能解析の結果とワタ繊維細胞膜画分の試験管内セルロース合成系を用いた生化学的な解析結果を基にして、CesAタンパク質群の役割の可能性を概説している。特に、CesAタンパク質の酸化状態が植物のセルロース合成を制御する仕組みについて突っ込んだ解説がなされている
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