アルミニウムによる農作物の生産の減少は世界的な問題であるが、植物がどのようにしてアルミニウムを検知しているかは明らかにされていない。Sivaguru らは、アルミニウムの毒性に鋭敏に反応することで知られているシロイヌナズナの根の成長部位における皮層の微小管を可視化し、さらに細胞膜のポテンシャルを計測した。アルミニウム処理を行うと、10分で微小管の脱重合と膜の脱極分化が引き起こされる。写真は、アルミニウムを処理する前 (左) と処理して20分後 (右) の様子を示している。興味深いことに、グルタミン処理によっても類似の反応が引き起こされ、また、最近、シロイヌナズナのゲノム中に見いだされた グルタミンレセプターに特異的な阻害剤によってアルミニウムによる効果は阻害される。これらのことから、アルミニウムに反応する最初の段階でグルタミンが放出され、膜の脱極分化に伴う微小管の脱重合がシグナルトランスダクションに関与しているのではないかと予想されている。
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