葉の内部におけるCO2拡散コンダクタンスは内部コンダクタンスとよばれ、CO2拡散における重要な要素であって光合成速度を強く制限する。しかし、内部コンダクタンスを決定する要因は十分には理解されていない。植物ではCO2がアクアポリンを透過することが知られているため、アクアポリンの存在は内部コンダクタンスに影響を与える可能性がある。
本号において半場らは (pp.521-529)、オオムギアクアポリン HvPIP2;1 を過剰発現させた形質転換イネを用いて、アクアポリンのレベル上昇が内部コンダクタンスを増加させるかどうかを検証した。内部コンダクタンスの測定は、著者らが制作した装置を用いて (右)、ガス交換と安定同位体比測定を組み合わせた方法により行った。その結果、HvPIP2;1 が増加している形質転換イネでは、内部コンダクタンスと光合成速度がともに上昇していることが示された。またこれらの植物においては、葉からの水分損失が大きいため、葉の内部形態にも明らかな変化がみられた (左)。
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