植物柱状器官の肥大する細胞は器官の縦軸方向に顕著に且つ厳密に伸長し、その結果、根、黄化胚軸、葉柄、花茎、雄しべフィラメントなどに見られる縦長のまっすぐな表皮細胞列を形成する。表層微小管はこの一定方向の伸長に必須である。本号において阿部ら (pp.211-220) は、lefty チューブリン二重変異株において顕著に阻害された微小管機能により一連の細胞形態の異常が起こり、それは雄しべフィラメントにおける左巻きのねじれ伸長 (カバー写真参照;表皮細胞に付着している花粉の形状は正常) から根の伸長領域における横方向の肥大を引き起こすことを見いだした。トライコームの分枝数の減少も観測された。以前報告されたlefty 一重変異株の観測結果と合わせ、これらの研究は表層微小管がより不安定化されるに従い、左巻きねじれ伸長という中間的な状態を経て細胞が完全に伸長方向の制御を失うことを示している。
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