西村幹夫会長(写真)

2006年1月
日本植物生理学会
会長 西村幹夫

 今年から会長をお引き受けすることになりました。責任の大きさにとまどいますが微力ながら学会の発展のために力を尽くしていきたいと思います。年頭にあたり所信を述べ、今後の活動の方向性を明らかにしたいと思います。

  植物生理学会は創立47年の当初より理・農・薬学部等の学部を超えた、植物生理学を研究する研究者が参画した学部等既成の枠にとらわれない学会として成長してきました。会員数の増加や年会での参加者、講演数の増加は著しいものがあり、本学会がまだ成長期にあることを示しています。また、学会誌 Plant Cell Physiology は植物科学の重要ジャーナルとして国際的にも広く認知されるようになってきました。こうした現状を踏まえて学会として次の3点に力点をおいて活動していきたいと思います。

  第1点は植物生理学から植物科学へその領域の拡大を目指すことです。従来から本会の会員の研究分野は植物生理学を超えて大きく植物科学に展開しつつあります。このこと自身、植物研究の大きな流れであるとともに、本会発展の原動力になっています。年会及び学会誌 Plant Cell Physiology をとおして広範な植物科学研究者と結集し、関連学会と連携していくことは、現在の植物生理学会に強く期待されています。

 第2点は更なる国際化を目指すことです。学会誌 Plant Cell Physiology をさらに魅力あるジャーナルとして発展させていくことに加えて、植物生理学会年会やシンポジウムにも更に国際的な連携を工夫していくことが肝要です。アメリカ植物生理学会との連携は従来までたびたび行われてきましたが、これを中国、韓国なども含めた更に大きなものにしていくことを考えていきたいと思います。

 第3点は植物科学の重要性を社会に知らせていくことです。植物生理学会ホームページの 「みんなの広場」 や昨年広報委員会が中心となり開催した市民向け講演会などの活動は 21世紀の食糧、環境問題の解決に益々植物科学の重要性が高まっている状況を社会にアッピールしていく上で必要です。又、本会はGMO問題などについて2度にわたり学会の提言を行っています。専門家集団として責任をもって社会にむけて発言していくことも本会に託された使命であり、今後も積極的に取り組んでいく所存です。

 昨年暮れ、第21回国際生物学賞にロックフェラー大学の N.H. Chua 教授が受賞されました。過去の関連する受賞者としては第7回の M.D. Hatch 教授、第13回の E.M. Meyerowitz 教授の受賞分野が 「植物を中心とする機能生物学」 と 「植物科学」 であったのに対し、今回は 「形の生物学」 と植物のみならず、生物全般の中から選ばれた点は特筆すべきと思います。植物科学における研究が生物全般の中で評価され、他分野に影響を与えていく。こうした研究の現状を踏まえて、私たちは植物の新たな生命像を明らかにしていくことにより、生命科学の発展に寄与し、社会に貢献していくことを目指したいと思います。

 本学会を一層発展させるために、会員皆様の積極的な御協力を切にお願いいたします。

学会活動