日本植物生理学会 設立趣意書

 先年パリで開催された第8回国際植物学会 (1954年7月) に於て諸国からの出席者の間で植物生理学の国際的な連合機関として International Association of Plant Physiology (国際植物生理学連合) の設立のための予備的協議が行われました。その主旨とするところは諸国の植物生理学者 (並びに植物生理学会 )の間の連絡をはかり、植物生理学の国際的シンポジウム、または国際会議を企画するなどによってこの学問分野の進展に寄与しようとするにあり、またこの組織が設立を見た上は直ちに国際生物学連合 (International Union of Biological Science, IUBS) に参加してこの国際的機構を通じての諸国植物生理学者の研究上の連絡や意見の表明、達成などに資せんとするものであります。このような国際的組織の実現が我々日本の植物生理学関係者にとっても極めて望ましいことはいうまでもないことでありますが、来る8月カナダで開かれる第9回国際植物学会はその実現を見るための絶好の機会であり、現に世界各国の植物生理学会を代表する人々の間で協議会が結成され、着々と準備が進められつつある模様であり、われわれ日本の植物生理学者にも、そこに代表を送り、この運動に参加協力するようにとの熱心な勧請状が参つております。国際植物生理学連合の構想では、各国にはそれぞれの植物生理学会を代表する機関の組織されることが期待されており、実際それによって国際植物生理学会の運営は一層能率的となると考えられます。

 ひるがえって我国における植物生理学関係の研究については、理学、農学、農芸化学、林学、水産学、薬学等の間に充分な連絡の欠けていることが、多くの識者によって指摘されていたところであります。新しい植物生理学会の設立とその適切な運営とは、こういう状態を刷新するために最も有効、且つ緊急に必要のことと考えられます。これに加えて先に述べましたような国際的気運もあり、この国における植物生理学専門組織の設立は機まさに熟していると言うも過言ではないと考えます。

 これらの諸事情にかんがみ、私共はこのたび日本植物生理学会を設立いたしました。

昭和34年4月4日
日本植物生理学会発起人一同

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