植物園の温室などに行くと、葉に様々な斑入りの模様が入った植物を見かけます。多くの 「斑入り」 は遺伝することが知られていますが、これらがどのような遺伝子のしくみによって起こるかは知られていませんでした。私達はモデル植物として使われているシロイヌナズナという小型雑草から、斑入りになる突然変異体を作り、これらの原因となる遺伝子をつきとめています。
yellow variegatedという劣性の変異体は、葉に霜降り状の斑が入り、葉緑体をクロロフィルの自家蛍光で観察すると、白い部分の細胞には葉緑体がなくなっていることがわかります。電子顕微鏡で見ると、白い細胞ではプラスチドが葉緑体に発達せず、膜構造が分解されたプラスチドとして存在していることがわかります。原因となる遺伝子を突き止めたところ、この変異体では、FtsHと呼ばれる葉緑体のタンパク質分解酵素の欠損により斑入りが起こっていることがわかりました。
資料提供:岡山大学資源生物科学研究所
坂本 亘氏
坂本 亘氏