写真はサトイモ科スキスマトグロッティス属の1種 (Schismatoglottis calyptrata) の葉に見られる斑入り (ふいり)。一般に斑入りというと、葉緑体がうまく作れないためにできる斑入りが有名だが、斑入りの原因はそれだけではない。むしろ観葉植物に見られる斑入りには、ここで示すような、細胞のすきまが原因でできる斑入りも多い。東南アジアの熱帯に生えるこの植物 (Schismatoglottis calyptrata) は特に変わっていて、 緑が濃いところでは柵状組織の細胞 (図の右側の写真で濃い紫に染まっているもの) が放射状にきれいに並んでいるが、緑が薄くてほとんど灰色に見える部分では、細胞がランダムに散らばっている。このため細胞間隙の空気が光を乱反射して斑が入ったように見えるのである。こうした斑を構造的斑入りといい、熱帯から暖帯の林床に生える植物に多いが、その役割はまだ分かっていない。
資料提供:岡崎国立共同研究機構・基礎生物学研究所
塚谷 裕一氏
塚谷 裕一氏