一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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木の実に含まれるタンニンの定量法について

質問者:   その他   大林
登録番号0210   登録日:2005-02-05
はじめまして
突然の質問をどうかお許しください。

この間、どんぐりについての本を読んだところ、どんぐりはその種類によってタンニンの含有量が異なると書かれてあったのですが、実際にタンニンはどのような定量法がされているのか、とても気になりました。

そこでご多忙の身と存じますが、ご回答のほど、どうかよろしくお願いします。
大林さま

 タンニンの測定には、Folindenis法というのが一般的な手法で、木材だけでなく葉や他の部位についても一般的に使われています。ドングリでも大丈夫だと思います。

 マングローブカルスにおいてタンニンを測定した例が出ていましたので、以下に、載せておきます。参考にして下さい(著者名で検索すれば、インターネットからダウンロードできます)。
 
Folindenis 法によるタンニン類測定
1)試薬作製
700ml の超純水にタングステン酸ナトリウム・2 水和物100g、リンモリブデン酸を20g、リン酸を50ml 加えて溶解した後、還流装置で2 時間還流した。冷却後に、1L に定容してFolindenis 試薬とした。次に、炭酸ナトリウム(無水)40g に100ml の水を加え、溶解した。一夜室温に放置して沈殿を生じさせ、上澄みを飽和炭酸ナトリウム水溶液とした。
2)検量線の作製
タンニン酸、(+)-カテキンをそれぞれ40mg 取り100ml のメスフラスコに採取た。これに80%メタノールを加え溶解、100ml に定量し、標準溶液とした。
反応液作製の際、分析用試料液の代わりに5 段階に希釈した標準溶液を加え、それらの吸光度を求め、検量線を作製した。
3)分析用試料作製
試料を細かく切断して、タンニン抽出量の多い80%メタノールを加え、ホモジナイザー(Ikemoto 社製)で摩砕抽出した(檜垣ら,1990)。その後、摩砕物は遠心分離(9,000rpm,15min)し、上澄み液を取った。更に、残渣に80%メタノールを加えて再び摩砕抽出し、遠心分離した。これを6 回繰り返して上澄み液を集め試料液とした。抽出回数は、予め行った予備実験の結果に基づいて決めたものである。
4)反応液作製
3.2ml の水を入れた試験管に200ul の分析用試料溶液を加えた。これに200ulのFolindenis 試薬を加えて攪拌した後、400ul の飽和炭酸ナトリウム溶液を加えて30 分放置した。ブランクはFolindenis 試薬の代わりに超純水を加えた。
5)吸光度の測定
試料の吸光度はUV-2200A(Shimadzu 社製)を用いて測定した。測定波長は700nmにおける吸光度を測定した。試料溶液のOD 値からブランク値を差し引いた後に検量線から測定値を算出した。
(川満芳信・徳丸 慶太郎 「マングローブ樹種カルスの2 次代謝産物ヤエヤマヒルギにおける最適カルス誘導培地の検討」から(財)亜熱帯総合研究所報告書))

 笹本 浜子(横浜国立大学)
森林総合研究所
 加藤 厚
回答日:2009-07-03
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