一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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サクラの色は年々薄く?

質問者:   会社員   江花 純
登録番号0227   登録日:2005-03-31
「最近サクラの色が、昔に比べて薄くなっている(白くなっている)」のではないか、といわれていますが、そうした事実はあるのでしょうか?

あるとしたら、どのようなメカニズムなのでしょうか?
江花 純様

ご質問いただき、ありがとうございます。

私自身は、年々白くなっているということは、耳にしたことがありません。そこで、一般的なお答えになりますが、ご了承ください。

桜の花びらの色素は、とても薄いですが、アントシアニンと呼ばれる花や野菜、果実などにも含まれる植物色素です。いまはやりのポリフェノール構造を持ちます。

具体的には、シアニジン-3-グルコシドと呼ばれる色素が主で、実は、桜の若芽の赤い色も、紅葉の赤色も、サクランボの赤色も主として同じ色素によります。実は、クロマメの色素も同じです。色素の量の多少によります。

もし桜の花びらの色が薄くなっているとすれば、色素の生合成量が減ることが最も考えられますが、一般的にアントシアニンの生合成は、さまざまな条件により変わります。光や温度、栄養状態など、どんな花の色にも濃い薄いがあるのと同じです。
もうひとつ、花の色の濃淡は、花弁の表面の細胞の形にも影響されます。
光の乱反射の影響で、平べったい細胞がならんでいると薄く、とがった細胞がならんでいると濃色にみえます。

むしろ、毎年同じ程度の濃さの花が咲くために、さまざまな遺伝子による制御が行われています。
名古屋大学
 吉田 久美
回答日:2009-07-03
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