一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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細胞壁について

質問者:   その他   やまと
登録番号0233   登録日:2005-05-01
細胞壁はなぜ固いのですか?
 細胞壁は主として多糖を成分としています。その多糖はセルロース、ヘミセルロース、ペクチンなどに分けられます。セルロースはブドウ糖が直線的につながった長い分子です。たくさんセルロースの分子があると隣のセルロースの分子と平行に並んで 結晶化し水に溶けなくなります。この分子の並びはかたくて丈夫です。細胞壁のセルロースから紙が作られます。新しい紙の切り口で手を切ることがあるので、かたさが分かります。デンプンもブドウ糖のつながった分子です。ブドウ糖のつながり方が異なり、ブドウ糖のつながって出来た分子は螺旋状になりかたいセルロースのような構造はとれないので、水にも溶けます。
 セルロースと違って、色々な糖から出来ているヘミセルロースとペクチンは水に溶けるなどやわらかい性質があります。細胞壁のペクチンを集めた食品がジャムやマーマレードです。やわらかいことが分かります。
 すなわち、細胞壁はかたい分子とやわらかい分子が混じった構造をしています。細胞が自分の体を支えるためにはこのかたい性質が利用されます。しかし、かたいだけなら細胞は形を変えることが出来ないので成長が出来ません。そこで、ヘミセルロースやペクチンのやわらかい性質を利用して成長をします。
 細胞壁はかたいけれどやわらかくもあるのです。
帝塚山大学
 山本 良一
回答日:2009-07-03
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