一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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ジベレリンの作用について

質問者:   その他   高崎 寛則
登録番号0424   登録日:2005-11-16
学生の暇つぶしからでた質問です。

イネにジベレリンを処理するとどの部分が伸長するのでしょうか?
一般的に節間と表現すると、イネに節が4つ以上あって伸びない節があることから語弊があるな、と感じたので質問してみることにしました。
しかも第一節と第二節だけでなく、節の上も明らかに伸長しています。

あと切断したイネに処理すると茎葉でも、外側にあるものは伸びずにその内側の若い葉だけ伸びるのはなぜでしょう。
またインタクトな植物に処理すると最外側にある葉が伸びないのはなぜでしょうか。
高崎寛則さま
 
 全体(個体)の中の部分(器官)の生長は、部分の都合だけで決まるのではなく、全体の都合にも大きく支配されています。器官の生長は勿論植物ホルモンの制御を受けていますが、それと同等、いやそれ以上に個体の経済状態(光合成産物量、無機栄養塩類の供給状況)の制御を受けています。ジベレリンは茎の生長にも、葉の生長にも促進的に働きますが、個体に処理した場合、茎の生長に対して、より効果的に働くので、個体の経済状態が悪い場合、葉の生長は促進されず、むしろ抑制されます。茎同志、葉同志ですと、若い部分により効果的に働くので、若い部分が多い場合、若くない部分には効果が現れないことが多いのです。このように、個体の中の器官の生長を対象にする場合、個体の経済状況、器官間の競争というものを無視することはできません。器官間生態学というような視点に立って考える必要があります。イネの節間生長を問題になさっておられますが、イネの節間の生長に対するジベレリンの働は、双子葉植物の茎の生長にたいする働きとは異なっており、イネでは生長を促進するというよりは、生長している時間を長くすることに働いています(結果として生長量を増大させています)。ジベレリンが効かなかった節間について、既に生長を終えていた節間である可能性もあります。以上のようなことを元に、貴兄の得た結果について、検討なさって下さい。
JSPPサイエンス・アドバイザー
 柴岡 弘郎
回答日:2009-07-03
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