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紅葉現象

質問者:   その他   横山 玲子
登録番号0425   登録日:2005-11-16
紅葉現象について2つ質問させていただきます。

・真っ赤ではなく、黒ずんだような色の紅葉になる植物がありますが、アントシアニン以外の物質がつくられるのでしょうか。

アントシアニンは過剰な光から葉緑体を保護しているということですが、この黒ずんだ物質もやはりそうでしょうか。

・黄葉となる植物は、アントシアニンを合成するための遺伝子をもたないか、もっていてもはたらきがoffになっているということでしょうか。
横山 玲子 さん:

お待たせしました。次のようにお答えします。

紅葉の季節になりましたね。赤、黄を中心としていますがいろいろな色調が混ざり合って、それぞれの地域の特徴を出しているようです。
紅葉現象は主に落葉樹に見られますが、一般に三種の色素、葉緑素、カロチノイド色素、アントシアン色素の量比によって色調が変わると考えられています。ちなみにアントシアンとは色素本体であるアントシアニジンとそれに糖が結合した(配糖体)アントシアニンの総称で、植物細胞にはほとんどがアントシアニン、つまり配糖体として存在します。お尋ねの「黒ずんだような色の紅葉」は人によっては「紫」系と見る場合もあり、山におけるその代表にガマズミが、市街地ではノウゼンカズラや街路樹のナンキンハゼなどがあげられるかも知れません。葉緑素の分解が少なく、アントシアン色素形成がおきると「黒ずんだ」あるいは「紫」系の紅葉となります。常緑樹でも「紅葉」するものがあります。ナンテンはその例ですがやはり黒ずんだ赤色になります。葉緑素とアントシアン色素との量比で、葉緑素が多ければより黒ずんだ赤に、少なければ鮮明な赤色になると考えて良いでしょう。花の黒ずんだ色では黒紫色のアントシアン色素などが原因となっているものが多いのですが、紅葉現象では細胞が酸性状態になるためアントシアン色素はみな赤色系になります。
アントシアン色素は紫外線を吸収しますので「過剰な光から葉緑体を保護している」とは推定できます。しかし、紅葉は葉が老化し始めたときに起こることで、この時期には葉緑体の光合成活性は極めて低下しておりわざわざアントシアン色素を合成して葉緑体を保護する生理的意義は大きくありません。春先の若芽や発芽した幼植物が赤くなりあたかも紅葉のようになることがあります。生垣に使われているカナメモチ(アカメモチ)などはその例ですが、果たして葉緑体保護効果があるのかどうか科学的証拠ははっきりしません。シソにアカジソとアオジソがあります。アントシアン色素を多量にもつアカジソがアオジソに比べ光合成効率が高いとする証拠もありません。残念なことですがアントシアン色素やフラボン色素などは試験管内の試験ではいろいろな活性が認められますが、「生きた植物で生理的に働いている」とするには証拠は十分でありません。
黄葉となるものでは、ご指摘のようにアントシアン色素合成遺伝子のどれかが欠損しているか発現が抑制されているためと考えて良いと思います。アントシアン色素合成には多くの遺伝子が関与しており、どの遺伝子が欠損あるいは発現抑制されるのかは植物種、生育時期、部位などで違います。秋に黄葉になるからその植物ではアントシアン色素を合成するための遺伝子をもたないとは限りません。
JSPPサイエンスアドバイザー
 今関 英雅
回答日:2009-07-03
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