質問者:
その他
大林
登録番号0600
登録日:2006-04-22
私は今、実験で植物のアミノ酸分析を行っているのですが、アミノ酸について、植物と微生物の関連性があるのか気になってきました。みんなのひろば
微生物と共生していない植物
そこで、疑問に思ったのですが微生物とほとんど、もしくは全く、共生していない植物(主に根圏で)というのはありえるのでしょうか?
もしあったとすれば、それはどのような例があるのでしょうか?
ご明示のほど、よろしくお願いします。
大林さま
みんなの広場へご質問をお寄せ下さり有難うございました。お寄せ頂いたご質問の回答を植物と菌類の共生についての研究をなさっておられる東大農学部の宝月岱造先生にお願いしておりました所、以下のようなご回答を頂きました。ご参考になるものと思います。
宝月先生からのご回答
植物と菌の共生で比較的良く調べられているのは、根粒や菌根と呼ばれる特徴的な共生構造を作るタイプのものです。根粒構造を作る共生は、マメ科植物と共生する根粒菌によるものとハンノキ属、グミ属等の木本種と共生する放線菌によるものが知られています。ですから、これらの植物種以外は、根粒共生をしません。また、菌根共生には、限られた樹木種と共生する外生菌根菌によるものと、広い範囲の種子植物と共生するアーバスキュラー菌根菌によるものが知られています。外生菌根菌は、マツ類等とは簡単に共生しますが、ほとんど全ての草本種、およびスギやヒノキ等、かなり数の樹木種とは共生しません。
これらの中で、最も宿主範囲が広いのは、アーバスキュラー菌根菌です。このタイプの菌は、ほとんどの植物種の根に共生しますが(共生しない植物種は、種子植物の数%と見積もられている)、アブラナ科、カヤツリグサ科、タデ科、アカザ科等に属する植物種の多くとは共生しないと言われています。最近、私たちは富士山でタデ科のオンタデを調べましたが、全く感染していませんでした。また、イタドリも感染率はかなり低いようです。これらの植物は、根粒も外生菌根も作りませんから、今のところ、菌類と共生せずに暮らしていると考えて良いと思います。
ただし、野生の植物を調べてみると、何かしら菌類(例えば、植物細胞の間に暮らしている内生菌と呼ばれる菌類)や細菌が、植物体の様々な部分で共存しています。これらが、宿主と未知の共生的な相互作用をしている可能性を頭に置いておく必要があるかも知れません実際そのような研究が、最近少数ながら報告されつつあります。
なお、質問の真意がよく分かりませんが、もし実験的に非感染苗を作りたいのであれば、土壌と種子を滅菌して苗を育ててはどうでしょうか?
宝月 岱造(東大農学部)
みんなの広場へご質問をお寄せ下さり有難うございました。お寄せ頂いたご質問の回答を植物と菌類の共生についての研究をなさっておられる東大農学部の宝月岱造先生にお願いしておりました所、以下のようなご回答を頂きました。ご参考になるものと思います。
宝月先生からのご回答
植物と菌の共生で比較的良く調べられているのは、根粒や菌根と呼ばれる特徴的な共生構造を作るタイプのものです。根粒構造を作る共生は、マメ科植物と共生する根粒菌によるものとハンノキ属、グミ属等の木本種と共生する放線菌によるものが知られています。ですから、これらの植物種以外は、根粒共生をしません。また、菌根共生には、限られた樹木種と共生する外生菌根菌によるものと、広い範囲の種子植物と共生するアーバスキュラー菌根菌によるものが知られています。外生菌根菌は、マツ類等とは簡単に共生しますが、ほとんど全ての草本種、およびスギやヒノキ等、かなり数の樹木種とは共生しません。
これらの中で、最も宿主範囲が広いのは、アーバスキュラー菌根菌です。このタイプの菌は、ほとんどの植物種の根に共生しますが(共生しない植物種は、種子植物の数%と見積もられている)、アブラナ科、カヤツリグサ科、タデ科、アカザ科等に属する植物種の多くとは共生しないと言われています。最近、私たちは富士山でタデ科のオンタデを調べましたが、全く感染していませんでした。また、イタドリも感染率はかなり低いようです。これらの植物は、根粒も外生菌根も作りませんから、今のところ、菌類と共生せずに暮らしていると考えて良いと思います。
ただし、野生の植物を調べてみると、何かしら菌類(例えば、植物細胞の間に暮らしている内生菌と呼ばれる菌類)や細菌が、植物体の様々な部分で共存しています。これらが、宿主と未知の共生的な相互作用をしている可能性を頭に置いておく必要があるかも知れません実際そのような研究が、最近少数ながら報告されつつあります。
なお、質問の真意がよく分かりませんが、もし実験的に非感染苗を作りたいのであれば、土壌と種子を滅菌して苗を育ててはどうでしょうか?
宝月 岱造(東大農学部)
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2006-04-24
柴岡 弘郎
回答日:2006-04-24