質問者:
大学生
ミルハウス
登録番号0932
登録日:2006-07-30
高校の時からの疑問できっかけはフックがコルクの細胞を発見したという話からです。どこからが死か?
その細胞は死細胞だったというのを聞いて、切ったすぐの木で観察したら細胞は死んでいるのかと、とても気になりました。
いろいろ調べたところ、木はもともと身体のほとんどが死んだ細胞からできていて一部の生きた細胞で成長がなされているとわかりました。
日常で建築に使われる木材は長い時間乾燥されているので物質代謝能がなく死んでいると言われても納得できるのですが、園芸で行われる挿し木などは植物の一部を切りとって植えることで繁殖させることができるわけだから、挿し穂も放っておいたら挿し穂から枯れ枝に変わるということで、木材になった木も、切られてすぐならまだ柔細胞も生きているのでは?と思いました。
木の中の柔細胞などの木の命に関わる細胞は、木を切られた瞬間にどう変化していくのか?
(切ることがそれらにどのように影響していくのか?)
成長は植物ホルモンによってコントロールされるそうですが、その植物ホルモンは何処でつくられ、木のどの部分が無くなると分泌されなくなるのか???
うまく質問できないのですが、木が切られても、切られてすぐなら生きた細胞たちは丸太の状態の中でも生きることができるのか?ということと、どのような過程で死に至りどれくらいの間生きていられるのか?ということが知りたいです。質問の説明分かりにくくてすみません。回答お願いします。
ミルハウス さん:
生物学で「死」を考えるとき、「個体の死」と「細胞の死」を区別する必要があります。生物には多細胞生物と単細胞生物がありますが、単細胞生物では個体の死は細胞の死と同じです。多細胞生物では個体の死は個体を構成するすべての細胞の死と同じではありません。樹木の生きている細胞と死んでいる細胞に関しては登録番号0866の回答を参考にしてください。樹木の材に当たる部分(木部)はほとんどが死んだ木部細胞の集まりで材の周辺部を除けば通導組織としての機能も失っています。木部の外側に樹皮がありますが木部と樹皮の間に形成層と言う分裂細胞があります。形成層は外側に二次篩部を内側に二次木部を形成し続けます。篩部は代謝物の通導組織で生きた細胞からなり、樹木個体の生存に重要なものです。つまり樹木は個体として生きていますが、生きた細胞と死んだ細胞で構成されていることになります。さて、樹木を切り倒すと、切り倒された樹木は栄養素や水の供給源である根を失いますのでそれ以上の成長は出来ず、個体としては死んだことになります。しかし、樹皮をはじめ若いシュートの細胞はまだ生きていますが栄養素や水の供給が絶たれ、次第に死んでいくことになります。特に水の供給が絶たれると生きている細胞の恒常性が失われて細胞死を起こします。どのくらい生き続けるかは切断された茎からの位置、細胞の種類によって違ってきます。ところが茎の切り口を水中に入れるなどして水の供給を続ければ生きている細胞は生き続けることが出来ます。そのため葉の光合成などの活動や、各種の代謝物、植物ホルモンなどの合成も続きます。茎の切り口付近の生きている細胞では、切断傷害の刺激と送られてきた植物ホルモンの働きとで不定根形成を開始し、切り枝は個体として再生します。これが挿し木で個体繁殖出来る理由です。
植物に限らず生物では生育の過程で特定の細胞が積極的に死ぬことが多くあり、個体の生存にとって重要な意味をもちます。導管は導管要素という生きている細胞が死んで縦につながり管状となったものですし、病原菌に感染すると感染細胞が積極的に自殺して病原菌の成長を抑制しています。このような細胞死に関しては登録番号0265、登録番号0438を参考にしてください。
生物学で「死」を考えるとき、「個体の死」と「細胞の死」を区別する必要があります。生物には多細胞生物と単細胞生物がありますが、単細胞生物では個体の死は細胞の死と同じです。多細胞生物では個体の死は個体を構成するすべての細胞の死と同じではありません。樹木の生きている細胞と死んでいる細胞に関しては登録番号0866の回答を参考にしてください。樹木の材に当たる部分(木部)はほとんどが死んだ木部細胞の集まりで材の周辺部を除けば通導組織としての機能も失っています。木部の外側に樹皮がありますが木部と樹皮の間に形成層と言う分裂細胞があります。形成層は外側に二次篩部を内側に二次木部を形成し続けます。篩部は代謝物の通導組織で生きた細胞からなり、樹木個体の生存に重要なものです。つまり樹木は個体として生きていますが、生きた細胞と死んだ細胞で構成されていることになります。さて、樹木を切り倒すと、切り倒された樹木は栄養素や水の供給源である根を失いますのでそれ以上の成長は出来ず、個体としては死んだことになります。しかし、樹皮をはじめ若いシュートの細胞はまだ生きていますが栄養素や水の供給が絶たれ、次第に死んでいくことになります。特に水の供給が絶たれると生きている細胞の恒常性が失われて細胞死を起こします。どのくらい生き続けるかは切断された茎からの位置、細胞の種類によって違ってきます。ところが茎の切り口を水中に入れるなどして水の供給を続ければ生きている細胞は生き続けることが出来ます。そのため葉の光合成などの活動や、各種の代謝物、植物ホルモンなどの合成も続きます。茎の切り口付近の生きている細胞では、切断傷害の刺激と送られてきた植物ホルモンの働きとで不定根形成を開始し、切り枝は個体として再生します。これが挿し木で個体繁殖出来る理由です。
植物に限らず生物では生育の過程で特定の細胞が積極的に死ぬことが多くあり、個体の生存にとって重要な意味をもちます。導管は導管要素という生きている細胞が死んで縦につながり管状となったものですし、病原菌に感染すると感染細胞が積極的に自殺して病原菌の成長を抑制しています。このような細胞死に関しては登録番号0265、登録番号0438を参考にしてください。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2006-08-02
今関 英雅
回答日:2006-08-02