一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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実験の方法を教えてください

質問者:   中学生   モアイ
登録番号1002   登録日:2006-08-22
大豆を日に当てて育てた物と日に当てないで育てた物を用意して、日を当てないで育てた方の葉に葉緑体があるかどうか調べたいのですが、葉緑体だけを調べる方法がわかりません。

登録番号0727の質問内容を見て、葉緑体になる前に白色体というものがあることが分かりましたが、葉緑体と白色体の違いが分かるように、観察することはできませんか?
中学生でもできるような方法があったら教えてください。
モアイ さん:

葉緑体は細胞の中にある袋状の小粒子で、光合成反応のすべてを行う装置を持っているので細胞小器官と呼ばれるものの1つです。顕微鏡ではじめて観察できるほどの大きさです。ですから、「葉緑体だけを調べる方法」といえば顕微鏡を使う以外はないことになります。顕微鏡があっても、観察する試料は光が透るくらいうすくないとよく見えませんので、緑の葉やダイズの幼葉をそのまま顕微鏡で見ても、厚すぎるので細胞や葉緑体を観察することは出来ません。顕微鏡を使わないで「葉緑体があるかどうか」を調べる方法は、緑色かどうかを見れば良いことになります。植物にある緑色の色素は葉緑素だけで、葉緑体だけにあるからです。暗いところで育てたダイズを明るいところのおくと、次第に緑色になっていきます。これは葉緑体が出来始めたからです。その変化は比較的早く、2,3時間後には緑色になりはじまることを肉眼でも観察できるはずです。しかし、量的な変化を追跡することは難しいですね。
「葉緑体と白色体の違いを観察する中学生でもできるような方法」も同じで、白色体もとても小さく、色素もありませんので、直接「観察」する事は顕微鏡があっても難しいことなのです。
しかし、黄色いもやしが緑色になる変化は、たいへん劇的ですね。たとえば、黄色いダイズ芽生えに、光を当てるとき、光の強さを色々変えてみて、モアイさんが肉眼で「緑色になったな」と分かるまでの時間を測るとか。もやしのどの部分から緑色に鳴り始めるかとか。光の強さは、電気スタンドを使って距離を変えれば、調節できますね。あるいは、いろいろな種子を買ってきて、もやしを作り、どの植物が一番早く緑色になるかとか、などなど….工夫してみてください。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2006-09-09