一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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キキョウについて

質問者:   会社員   Y.H
登録番号1035   登録日:2006-09-06
キキョウの根は医薬品として使用されてますが、花や茎・葉にはそれぞれどのような効果があるのか、できるだけ詳しく教えてください。(良いといわれている疾病や成分名など)
Y. H. 様

植物の二次代謝産物の生合成や輸送を活発に研究されている京都大学生存圏研究所の矢崎一史先生に回答をいただきました。地上部の成分について質問を頂きましたが、キキョウでは地上部を利用することは、あまりないようです。二次代謝産物は、植物の特定の組織に蓄積することが多いものです。キキョウの薬用成分と効果について、詳しく回答していただきましたので、参考にして下さい。

ご存知の通り、キキョウの根は桔梗根の名で、去痰薬、排膿薬として咳、気管支炎、咽頭痛、各種化膿性疾患に内用します。薬効成分は種々のサポニンがその本体とされ、根にこれを最も多く含むことから根を薬用とします。
さて、ご質問の花や茎・葉の薬用利用ですが、漢方、和方、民間療法どれを見渡しても薬用に使うという例を見ません。新しく利用法を開発しようという新興のブームなどがどこかにあれば知りませんが、所謂正規の薬用植物関係の専門分野ではキキョウの地上部を薬に使うことはないと思います。
ただ、食用にはする所があり、例えば韓国ではアク抜きした根や、若い茎葉を様々な料理法で食用としています。
このご質問をされる切っ掛けとなった知見や記事等が何かありますでしょうか?

あと、参考までにですが、キキョウ科には北米産の植物ロベリアがあり、こちらは全草を喘息や気管支炎などの鎮痙剤とした経緯があります。茎葉にロベリンというアルカロイドを含みますが、呼吸中枢興奮作用などが知られています。キキョウの茎葉はこのような使い方をしている例は、私の知る限りありません。
また、キキョウ科は糖の貯蔵物質としてデンプンでなくイヌリンを含むという特徴があります。以前はこの多糖に薬効を期待して用いることは無かったのですが、ヒトが消化しない多糖であることから、最近はダイエット効果等を期待する人も見られるようです。ただし、キキョウそのもののイヌリン蓄積部位も根とされており、花や茎・葉に含まれるイヌリンはそれほど多くないのでは、と思います。

矢崎 一史(京都大学生存圏研究所)
JSPP広報委員、京都大学
河内 孝之
回答日:2006-09-09
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