一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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花の色から遠縁・近縁を判断する方法はありますか?

質問者:   中学生   夏姫
登録番号1058   登録日:2006-09-26
一重のハナスベリヒユ(MIX咲き以外)に自家不和合性がないことを確かめました。
しかし同じ条件下で明らかに花粉管伸長の速度の違う組み合わせも発見しました。
ただ、花すべりひゆは越冬後さし芽で増やす農家が多く、遺伝的に他家の株かどうかがきちんと確定できません。
花びらの色、茎の色、ウェーブの有無などから、自分なりの系統図を作って研究を進めてみましたが、花の色の系統図にいまひとつ法則性が見出されなくて困っています。
花の色で近縁・遠縁を判断する基準のようなものはありますか?
夏姫さま

 大変おまたせしてしまいました。頂いたご質問の回答を、植物の色素の研究を長年行って来られた熊本大学の吉玉国二郎先生にお願いしておりましたが、今日、以下のようなご回答を頂きましたので、お届けします。吉玉先生もご指摘なさっておられますが、目で見た色だけでなく色の本体まで分かるともう少し問題に迫れるかも知れません。是非、研究を続けて下さい。

吉玉先生のご回答

 花の色を見て近縁、遠縁を判断するのはとても難しいと思います。
 しかし、一般的に近縁のものは花色が同じで、遠縁のものは花色が違っていることは言えると思います。高校生になったらペーパクロマトグラフィーによる実験があると思いますので、この方法で比較すると、花の色でもより詳しくお互いの類縁関係がわかるかもしれませんね。
 遺伝学の祖といわれているメンデルもかけ合わせの過程で、エンドウまめの形と同時にその色に注目していることからも、あなたの研究の過程で花の色に注目し、それをもとに近縁、遠縁を判断できないかと考えたことはとてもいい思い付きだと思います。また、花粉管の伸長速度なども調べられているとのことで、その研究姿勢に感心しています。
 植物はその成長を静かに詳しく観察すると、たくさんの興味深い現象に気付きます。今は秋で、モミジの葉が赤く色付いてきていますが、この赤い色も花の赤い色素と同じ色素なのです。
 これからも植物の観察をぜひ続けていって下さい。

吉玉 国二郎(熊本大学)
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2006-10-30