一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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ハナミズキの紅葉について

質問者:   自営業   博行
登録番号1074   登録日:2006-10-05
いつもお世話になっております。
今、街の街路樹のハナミズキが綺麗に紅葉してきました。
そこで質問なのですが、まだ気温が暖かいのに何故今頃から紅葉してしまう
のでしょうか?
気象庁のデータを調べてみたのですが、
http://z.la/ajyfu
東京都練馬区の月別平均気温では
4月、5月と10月を比べると最高気温、最低気温、平均気温とも
4月<10月<5月のようです。
ちょうど春になって若葉が展開してくる頃の気温と大差ないと思うのですが、
何故春の新芽は紅葉しないのに、今頃の葉は紅葉するのでしょうか?
よろしくお願いいたします。
博行 様

 日本植物生理学会・みんなのひろば・質問コーナーに質問を寄せて下さり、ありがとうございました。この質問には、熊本大学で植物色素について研究されている吉玉国二郎先生が答えて下さいましたので、ご参考にして下さい。なお、紅葉や若芽の着色については、本コーナーで度々取り上げられておりますので、そちらの方も参考にして下さい。

 紅葉(特に赤く色着く場合)は花の色素と同じアントシアンという色素によって着色します。この色素の生成には光と温度差が特に影響を及ぼすことが知られています。特に紅葉は、光とある程度の温度差と葉の老化が深く関係しています。葉が晩秋のころ落葉の準備を始めると、葉の中に色々な養分が貯まり始め、それが材料となって色の生成が始まるといわれています。それゆえ、紅葉は光(特に紫外線)が強く、温度差が激しい高山であざやかです。
 ハナミズキが紅葉を始めたのは、おそらく日中と夜間の温度差が生じてきたからではないかと思います。また、部分的な紅葉であるならば、葉が傷害を受けた際にも着色がはじまるので、それが原因かもしれません。
 植物には芽生え時に紅葉し、落葉期には紅葉しないもの、芽生えの時は黄緑で落葉のころ紅葉するタイプ、それに何れの時期にも紅葉しないタイプがあります。芽生えのときになぜ紅葉するのか、落葉時になぜ新しい色素を作って紅葉するのかについての生理的意義に関してはまだわかっていません。
 いずれにせよ、紅葉が最も美しくなる条件は、ある程度紫外線が強いこと、温度差があること、それに適度な湿度のようです。それゆえ、高山の小川のほとりの紅葉が最もきれいだと言われています。

吉玉 国二郎(熊本大学大学院・自然科学研究科)
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2006-10-13
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