一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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スルガジョウロウホトトギスの花の中にある器官について

質問者:   一般   mitue@熱海
登録番号1085   登録日:2006-10-24
スルガジョウロウホトトギスを播種した1年生苗をいただき4年目に初花をみました。花の中を良く見ると雌しべに腺毛のような形をした突起物がみえましので触ってみたのですが液体は感じませんでした。その後分解してみたら柱頭、花柱、花糸の下までついていました。これらの器官は腺毛と呼ぶのでしょうか?またどんな働きをするのでしょうか?
過去ログの登録番号0583は拝見しましたがよく分かりませんでしたので質問にあがりました。宜しくお願い致します。
mitue@熱海さま

 みんなの広場へのご質問有難うございました。頂いたご質問の回答が可能な会員は植物生理学会にはいないのではないかと考え、植物学会の会員の伊藤元己先生を介して、ホトトギス属の植物がご専門の岐阜大学の高橋先生にご回答をお願いいたしましたところ、以下のようなご回答をお寄せ下さいました。きっと、ご満足の頂けるご回答だと思います。

ご質問の件、私の分かる範囲でお答えします。
 このような構造物はホトトギス属の全ての種にあります。主に花柱の三裂した部分にありますが、それより下にも出ることがあります。
 これを単に「腺」と言うことも「腺毛」ということもあります。毛というにはあまりにも太いので、感覚的には「腺」だけにする方がよいようにも思いますが、植物学上の定義からは「腺毛」としてよいと思います。ただし、おっしゃるとおり、目に見えるような分泌物を出していません。もしかしたら、揮発性の物質を出しているかも知れませんが、そのようなことを調べた研究例は知りません。恐らく無いと思います。
 この「腺毛」はホトトギス属のどの種にも必ず多数ありますから、何か重要な機能を持っているとしか考えられませんが、その適応的意味は未だ分かっていません。何か揮発性物質を出すか腺の中に忌避物質含んでいて、花柱が食べられることから防御しているという可能性(仮説)が考えられますが。ただし、仮にその可能性があるとしても、全ての植食者に有効では無いと思います。花柱が食べられることは結構あります。

高橋 弘(岐阜大学教育学部)
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2006-10-21
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