一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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かりんの毛

質問者:   一般   3001
登録番号1090   登録日:2006-10-24
青果物の販売をしていて、かりんの毛は加工するのに取り除いたほうがいいいか聞かれました。取ったほうがいいのでしょうが、興味として、あの毛は何なんですか? オクラの質問の回答のように、身を守るためですか?
3001様

質問にお答えしますが、オクラの毛に関する質問への回答内容と実質的にかわりません。

回答:
植物の茎、葉、果実、花、根などさまざまな器官の外側には、一般的に“毛”と呼んでいる付属構造がみられます。細胞が一つの単純な、文字どおり細い毛のようなものから、複数の細胞からなるもの、また分枝して木の枝のようになったものなど様々な形がみられます。これらはもちろん、植物がそれぞれに環境への適応として進化の過程で作られてきたものでしょう。”毛”は生きている細胞でできている場合も、死んだ細胞の場合もあります。期間が若い場合は当然細胞は生きているものと考えてよういでしょう。カリンの場合は熟した果実ですから、”毛”の細胞は死んでいると思います。“毛”はごわごわした硬いものからふわふわした柔らかいものものまでありますが、多くの場合、炭酸カルシュウムとかケイ素などの化合物で強い構造になってます。”毛”の役割(機能)はいろいろあります。多くの場合、小さい昆虫による食害から守る役割をします。”毛”が硬かったり、昆虫や動物の口蓋を刺激したりする場合は特にそうです。”毛”は表皮からの水分の蒸発を防ぐのに役立ちます。特に、枝分かれした”毛”ではそうです。乾燥地帯の植物には細かい毛で覆われたものがあります。また、風が強い所の植物は毛で覆われていると、直接表皮から風にによる水分の蒸発が防げます。この他にも、分泌物を出す器官としてなど、特殊な機能を持つ場合もあります。
ところで、カリンの果実の毛の場合ですが、この植物について特に調べたという研究は見当りません。証明できているとは言えませんが、カリンの果実が未熟なうちは、上記のような“毛”の役割どれかがあるものと考えられます。熟した果実では、カリンの植物自身に取っては、もう役割は終わっているのでしょう。食品として加工される場合は、毛を取った方が食べ安いのであれば、その方がいいでしょう。たとえば、ジャムのような場合はそのような毛が多いと、食感が悪いことも考えれますね。
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2006-10-30
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