質問者:
会社員
奥田
登録番号0110
登録日:2004-08-04
はじめまして、会社員の奥田と申します。みんなのひろば
観葉植物のCO2吸収能力
最近、CO2吸収と酸素供給を謳って観葉植物を販売している会社がありますが、実際のところ、観葉植物が吸収できるCO2能力は最大でどの程度なのでしょうか?
また、CO2吸収能力の高い観葉植物の種類はどのようなものがあるのでしょうか?
よろしくご教示お願い致します。
奥田さま
お答えがすっかり遅くなってしまい申し訳ありませんでした。野外や室内での光合成の研究をされている寺島先生からお答えをいただきました。
観葉植物の多くは,野外にくらべてかなり暗い室内の光環境でも生きることができます。ポトス,モンステラ,アロカシアなどの観葉植物は森の中の暗い環境でも生きています。
野外の明るいところで生育するよく光合成をする作物のCO2固定速度は,強い光の下で50 μmol CO2 m-2 s-1にのぼります。一方,これらの植物のCO2固定速度は,光を強くしてもせいぜい5 μmol CO2 m-2 s-1程度ですから,観葉植物のCO2固定速度は最もよい条件でもたいしたことはありません。実際の室内の光強度(ふつうのオフィスで野外の最大光強度の1%程度)を考えると,CO2固定速度はもっと低いことになります。
葉が光合成をするときのCO2固定速度とO2発生速度とは等しいとして酸素の供給量を計算してみましょう。
体積100 m3のオフィスに葉の総面積が1 m2の大きな観葉植物があるとします。室内の光強度を考えて,1 μmol CO2 m-2 s-1程度の光合成をやっていると仮定します。朝から晩まで,12時間光合成をしたとします。12時間の酸素の発生量は,
1 x 10-6 x 3600 x 12 = 0.043 mol O2
となります。朝,100 m3の空気に21%の酸素が含まれていたしましょう。室温では1molのガスは0.024 m3程度の体積になりますから,朝,このオフィスに含まれていた酸素のモル数は,
100 x 0.21/0.024 = 875 mol O2
となります。したがって,夕方の酸素の濃度は,
0.21 x (875 + 0.043) / 875 = 0.21001
となります。すなわち,21.001%に上昇します。酸素供給という意味ではあまり役にたちません。呼吸による酸素吸収は光合成よりも小さいので,病室にお見舞いとして鉢植えを持っていっても,夜,病人が酸欠で苦しむことはありません。
室内で栽培する観葉植物には,CO2吸収能力の高いものは有りません。
寺島 一郎(大阪大学)
お答えがすっかり遅くなってしまい申し訳ありませんでした。野外や室内での光合成の研究をされている寺島先生からお答えをいただきました。
観葉植物の多くは,野外にくらべてかなり暗い室内の光環境でも生きることができます。ポトス,モンステラ,アロカシアなどの観葉植物は森の中の暗い環境でも生きています。
野外の明るいところで生育するよく光合成をする作物のCO2固定速度は,強い光の下で50 μmol CO2 m-2 s-1にのぼります。一方,これらの植物のCO2固定速度は,光を強くしてもせいぜい5 μmol CO2 m-2 s-1程度ですから,観葉植物のCO2固定速度は最もよい条件でもたいしたことはありません。実際の室内の光強度(ふつうのオフィスで野外の最大光強度の1%程度)を考えると,CO2固定速度はもっと低いことになります。
葉が光合成をするときのCO2固定速度とO2発生速度とは等しいとして酸素の供給量を計算してみましょう。
体積100 m3のオフィスに葉の総面積が1 m2の大きな観葉植物があるとします。室内の光強度を考えて,1 μmol CO2 m-2 s-1程度の光合成をやっていると仮定します。朝から晩まで,12時間光合成をしたとします。12時間の酸素の発生量は,
1 x 10-6 x 3600 x 12 = 0.043 mol O2
となります。朝,100 m3の空気に21%の酸素が含まれていたしましょう。室温では1molのガスは0.024 m3程度の体積になりますから,朝,このオフィスに含まれていた酸素のモル数は,
100 x 0.21/0.024 = 875 mol O2
となります。したがって,夕方の酸素の濃度は,
0.21 x (875 + 0.043) / 875 = 0.21001
となります。すなわち,21.001%に上昇します。酸素供給という意味ではあまり役にたちません。呼吸による酸素吸収は光合成よりも小さいので,病室にお見舞いとして鉢植えを持っていっても,夜,病人が酸欠で苦しむことはありません。
室内で栽培する観葉植物には,CO2吸収能力の高いものは有りません。
寺島 一郎(大阪大学)
広報委員長
三村 徹郎
回答日:2007-08-06
三村 徹郎
回答日:2007-08-06