質問者:
大学生
Little-Rascal
登録番号1100
登録日:2012-08-25
こんにちは。水草の蒸散
去年一度投稿いたしました折は、詳しくわかりやすい返答をいただきありがとうございます。
再び、疑問が浮かびましたので、投稿させていただきます
登録番号938の方と少し似ているかもしれませんが、
ついこの間、水草の代表植物として知られるオオカナダモのことで、
葉の裏に気孔がないということを知りましたが、
そこで、ではどうやって蒸散をしているのか知りたくなりました。
根からの水の吸水力を上げるためには、蒸散して植物の上体から
水を逃がす必要があると思うのですがどうやっているのか、
教えて下さい。 よろしくお願いします//
Little-Rascal 君
植物の光合成は太陽光を受けて進行し、二酸化炭素からデンプンなどの光合成産物を合成しますが、太陽光エネルギーの半分は光合成に有効でない赤外線であり、残り半分の可視光による光合成過程でも100%のエネルギー効率では進行しません。そのため最も効率がよいときでも太陽光エネルギーの約12%が光合成産物として固定されるだけで、残りは熱エネルギーとなるため、葉の温度が上昇します。陸上植物の蒸散作用の重要な役割は葉の温度調節です。気孔を通して水が蒸散作用によって気化するとき周りから気化熱を奪って温度調節をしています。気孔の開閉は蒸散作用による温度調節以外に、ご質問にありますように根か地上部への水の移動とそれに伴う無機養分の移動、さらに、光合成に伴う二酸化炭素の吸収、酸素の放出とも密接な関係があり、その開閉は周りの環境条件に応じて厳重に制御されています。その詳細な機構については、木下先生が書かれたJSPP“みんなのひろば”の中の植物科学のトピックス、“気孔の働きと開閉の仕組み”をご覧下さい。
水中植物の葉も太陽光が当ると温度が上昇するのは同じですが、例え根からの水が気孔を通して水中に放出されても気化熱を奪うことはできません。水中植物の葉が空気より遥かに熱伝導度の高い水の中にあり、いつも“水冷”されているため蒸散作用による温度調節を必要としないと思われます。そのため気孔がなくても葉の温度が上昇せず光合成を行うことができます。蒸散作用や気孔が温度調節以外にもつ機能としてガス交換、水、無機養分の移動がありますが、ガス交換、水、無機養分の吸収も葉の細胞と周りの水との間で直接進行できる器官が多いため、陸上植物ほど気孔、蒸散作用を必要としないと考えられます。
水生植物の無機養分吸収などについて、この質問コーナーの登録番号0030、登録番号0059、登録番号0218,登録番号0399の回答にいろんな面からの解説がありますのでそれらも参考にして下さい。
植物の光合成は太陽光を受けて進行し、二酸化炭素からデンプンなどの光合成産物を合成しますが、太陽光エネルギーの半分は光合成に有効でない赤外線であり、残り半分の可視光による光合成過程でも100%のエネルギー効率では進行しません。そのため最も効率がよいときでも太陽光エネルギーの約12%が光合成産物として固定されるだけで、残りは熱エネルギーとなるため、葉の温度が上昇します。陸上植物の蒸散作用の重要な役割は葉の温度調節です。気孔を通して水が蒸散作用によって気化するとき周りから気化熱を奪って温度調節をしています。気孔の開閉は蒸散作用による温度調節以外に、ご質問にありますように根か地上部への水の移動とそれに伴う無機養分の移動、さらに、光合成に伴う二酸化炭素の吸収、酸素の放出とも密接な関係があり、その開閉は周りの環境条件に応じて厳重に制御されています。その詳細な機構については、木下先生が書かれたJSPP“みんなのひろば”の中の植物科学のトピックス、“気孔の働きと開閉の仕組み”をご覧下さい。
水中植物の葉も太陽光が当ると温度が上昇するのは同じですが、例え根からの水が気孔を通して水中に放出されても気化熱を奪うことはできません。水中植物の葉が空気より遥かに熱伝導度の高い水の中にあり、いつも“水冷”されているため蒸散作用による温度調節を必要としないと思われます。そのため気孔がなくても葉の温度が上昇せず光合成を行うことができます。蒸散作用や気孔が温度調節以外にもつ機能としてガス交換、水、無機養分の移動がありますが、ガス交換、水、無機養分の吸収も葉の細胞と周りの水との間で直接進行できる器官が多いため、陸上植物ほど気孔、蒸散作用を必要としないと考えられます。
水生植物の無機養分吸収などについて、この質問コーナーの登録番号0030、登録番号0059、登録番号0218,登録番号0399の回答にいろんな面からの解説がありますのでそれらも参考にして下さい。
JSPPサイエンスアドバイザー
浅田 浩二
回答日:2012-08-25
浅田 浩二
回答日:2012-08-25