質問者:
会社員
masa
登録番号1102
登録日:2006-11-05
ドライフラワーに興味を持ち始めました。みんなのひろば
ドライフラワーの赤色保存法
コスモスが好きでこの花をドライフラワーにする事にチャレンジしています。
乾燥剤(シリカゲル)を用い且つ多少の圧力を掛け急速乾燥する事で形の保存はある程度できるようになりました。
しかし、花の色のピンクや赤の色が紫色に変わってしまい、なかなか元の色を保存することが出来ません。
コスモスに限らず赤色の花の色をドライの状態で保存するのは難しいようです。
本ページ等で調べた限り、花の赤はアントシアニンが液胞中の酸性によって発色しているように思われます。
脱水によりH+イオンが存在しなくなる事により酸性でもアルカリ性でもなくなることによる変色なのかなとも推測しておりますが、良い方法は無いでしょうか?
masaさま
大変お待たせいたしました。花の色素、特にアントシアニン類が関与する発色に関係しますので、名古屋大学の吉田久美先生にうかがいました。色調は水素イオン濃度だけで決まるわけではありませんので、色素と他の成分との関係も重要です。生きている植物細胞をそのまま乾燥(しかも極めてゆっくりと)させると、乾燥途中にさまざまな生化学反応がおきますので、細胞成分の組成や濃度が複雑な状態になり、色調などを予測することが困難になります。
masa さん:
多くの赤色の花はアントシアニンという色素で発色していると思います。そして、花の細胞内でアントシアニンという分子が赤色を示す状態であるためには、細胞内のpHが酸性である必要があります。また、花の中の発色には、何らかの細胞内の塩かイオン類、あるいは、共存物質が必要であろうと思います。しかし、脱水することで、この環境が変化してしまうために、変色するのではないでしょうか。酸でもアルカリでも、希薄な水溶液では解離状態を取りますが、濃厚溶液になると、その解離平衡は抑えられる方に進みますのでpHも変化してしまうはずです。非常に強い酸性条件下ではアントシアニンは赤色ですので、実験室では、この状態でアントシアニンの溶液を粉末化しますと、赤色のまま の色素が得られます。ただし、これと同様な状況をドライフラワーで再現しようとすることは困難ではないかと存じます。
花弁で青色を発色するのは、赤や紫色よりもむしろ困難で、様々な仕組みが必要なのですが、乾燥したときに青色に較べて赤色の花の色を保つのが難しいのは、青色の花色が、ほぼ中性付近の細胞pHで発現しており、脱水でもあまりpH変化がないためかもしれません。
吉田 久美(名古屋大学大学院情報科学研究科)
大変お待たせいたしました。花の色素、特にアントシアニン類が関与する発色に関係しますので、名古屋大学の吉田久美先生にうかがいました。色調は水素イオン濃度だけで決まるわけではありませんので、色素と他の成分との関係も重要です。生きている植物細胞をそのまま乾燥(しかも極めてゆっくりと)させると、乾燥途中にさまざまな生化学反応がおきますので、細胞成分の組成や濃度が複雑な状態になり、色調などを予測することが困難になります。
masa さん:
多くの赤色の花はアントシアニンという色素で発色していると思います。そして、花の細胞内でアントシアニンという分子が赤色を示す状態であるためには、細胞内のpHが酸性である必要があります。また、花の中の発色には、何らかの細胞内の塩かイオン類、あるいは、共存物質が必要であろうと思います。しかし、脱水することで、この環境が変化してしまうために、変色するのではないでしょうか。酸でもアルカリでも、希薄な水溶液では解離状態を取りますが、濃厚溶液になると、その解離平衡は抑えられる方に進みますのでpHも変化してしまうはずです。非常に強い酸性条件下ではアントシアニンは赤色ですので、実験室では、この状態でアントシアニンの溶液を粉末化しますと、赤色のまま の色素が得られます。ただし、これと同様な状況をドライフラワーで再現しようとすることは困難ではないかと存じます。
花弁で青色を発色するのは、赤や紫色よりもむしろ困難で、様々な仕組みが必要なのですが、乾燥したときに青色に較べて赤色の花の色を保つのが難しいのは、青色の花色が、ほぼ中性付近の細胞pHで発現しており、脱水でもあまりpH変化がないためかもしれません。
吉田 久美(名古屋大学大学院情報科学研究科)
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2006-11-14
今関 英雅
回答日:2006-11-14