一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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デンプンの消化

質問者:   高校生   えみ
登録番号1112   登録日:2006-11-21
この前、デンプンの消化の実験でアミラーゼを使って実験をしました。それでアミラーゼはどのようにデンプンを分解するんですかぁ??
えみ さん

 デンプンが酵素であるアミラーゼによってどのように分解されるのか?のご質問ですが、この反応によってデンプンを構成している単位分子であるグルコース(ブドウ糖)、2分子のグルコースが結合しているマルトース、3分子のグルコースが結合しているマルトトリオースなどが生じます。これらの反応産物は違った種類のアミラーゼによって生じます。一方、デンプンにも、これを構成しているグルコースが1、4の位置で多数連なった鎖状のアミロース(例えば、ウルチのデンプン)と、グルコースの1,6の位置で結合し枝分かれした部分ももつアミロペクチン(粘りのあるモチゴメのデンプン)とがあります。これらの組み合わせによってデンプンをアミラーゼで分解するとき、上に示した産物が生ずる割合は違ってきますが、基本的にはこの反応は、グルコースが多数連なったデンプンのグルコース-グルコース間の結合が切断(加水分解)される反応です。このグルコース-グルコース間結合の切断によって生ずるグルコース、マルトースなどは甘く、このようにして“水あめ”が作られています。

 アミラーゼで実験をしてみて、ほんの僅かのアミラーゼによってデンプンが余り温度を高くしなくても分解していくのを観察されたことでしょう。アミラーゼなしでデンプンのグルコースへの加水分解を行うためには、100度Cで塩酸など強い酸を加えないと進行しません。ご質問の“どのように”が、アミラーゼの酵素タンパク質分子がどのようにして、低温で強い酸が必要なデンプンの加水分解を進行させているのか、の意味であれば、これは少し難しい問題です。しかし、アミラーゼのタンパク質分子の構造、デンプンが結合して加水分解されやすい中間体ができる部分のアミラーゼ分子の構造などから、その機構が研究されています。

 ジャガイモを灰の中で焼くとなぜ甘くなるか、アミラーゼとデンプンの細胞内での相互作用による説明が、本質問コーナー、質問登録番号1042の回答にありますのでご覧下さい。
JSPPサイエンスアドバイザー
浅田 浩二
回答日:2006-11-28
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