質問者:
大学生
藤崎良祐
登録番号1113
登録日:2006-11-22
電気通信大学4年の藤崎良祐と申します。みんなのひろば
インドゴム、アカギ、トマトの道管、仮道管について
研究室で植物に関する研究を行なっています。工学系の大学のため植物に関する資料がなく、周りにも教えていただける方がいませんので質問させていただきました。
質問の内容ですが、インドゴム(ficus elastica)・トマト(Lycopersicon esculentum)・アカギの3種類の植物について、幹には道管・仮道管のどちらがあるのか、それとも両方あるのかということを教えていただけますか?
こちらの掲示板の過去の質問をみて、No866に以下のような記述がありました。
>維管束形成層は外側に篩管要素(細胞)を、内側に道管要素(細胞)を作ります。道管要素は生きた細胞ですが、ある程度分化が進むと細胞壁は厚くなり特有の模様が出来始める頃には細胞が死に、被子植物では道管要素の上下の細胞壁が崩壊して繋がり長い管(道管)となります。裸子植物では上下の細胞壁はなくなりませんが、側壁に固有の孔がたくさんでき、この孔を通して水の移動が起きます。仮道管と呼ばれます。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
この記述から被子植物では道管、裸子植物では仮道管があると考えると、「被子植物であるインドゴム・トマト・アカギには道管のみがある」ということでよいのでしょうか?
宜しくお願いします。
藤崎良祐 さん
日本植物生理学会 みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。ご質問は標記の番号で受け付け、回答をお送りします。
道管(道管要素)と仮道管(仮道管要素)の分布に関するご質問ですが、一般に道管は被子植物、仮道管はシダ植物、裸子植物にあるとされています。しかし、もう少し正確な表現をとるならば、裸子植物、特に針葉樹には道管はなく仮道管のみですが、同じ裸子植物でもマオウなど、シダ植物のイワヒバ属やトクサ属などは道管要素も持っています。一方、被子植物のうちでも比較的原始的とされているもの、例えば、センリョウ科、ヤマグルマ科では仮道管のみで道管はないとされています。このような一般論は、主に茎の維管束系、特に二次木部が発達する木本植物の茎の観察から導かれたものです。ところが、被子植物でも葉の末端の維管束などには仮道管要素がある例が多く見つかっており、仮道管要素はほとんどの維管束植物に存在するとさえ言って差し支えない状況です。ですから、道管、仮道管のあるなし、その割合などが問題となるような研究では、対象とする植物、器官、組織について、仮道管要素がどの程度混在するのか、各自で調査することが必要だと思います。
日本植物生理学会 みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。ご質問は標記の番号で受け付け、回答をお送りします。
道管(道管要素)と仮道管(仮道管要素)の分布に関するご質問ですが、一般に道管は被子植物、仮道管はシダ植物、裸子植物にあるとされています。しかし、もう少し正確な表現をとるならば、裸子植物、特に針葉樹には道管はなく仮道管のみですが、同じ裸子植物でもマオウなど、シダ植物のイワヒバ属やトクサ属などは道管要素も持っています。一方、被子植物のうちでも比較的原始的とされているもの、例えば、センリョウ科、ヤマグルマ科では仮道管のみで道管はないとされています。このような一般論は、主に茎の維管束系、特に二次木部が発達する木本植物の茎の観察から導かれたものです。ところが、被子植物でも葉の末端の維管束などには仮道管要素がある例が多く見つかっており、仮道管要素はほとんどの維管束植物に存在するとさえ言って差し支えない状況です。ですから、道管、仮道管のあるなし、その割合などが問題となるような研究では、対象とする植物、器官、組織について、仮道管要素がどの程度混在するのか、各自で調査することが必要だと思います。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2006-11-28
今関 英雅
回答日:2006-11-28