一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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節水栽培による果実の変化

質問者:   大学生   ilmari
登録番号1115   登録日:2006-11-24
トマトについて文献で調べていたところ、節水栽培による果実の変化についてのことが載っていました。それは、「水ストレスをかけることで植物体の水ポテンシャルが低下し、吸水のための低い水ポテンシャル維持機構の発現で、体内糖含有率が増加する」というものでした。しかし、「吸水のための低い水ポテンシャル維持機構の発現」でどのように糖含有率が上がるのかがわかりません。水ポテンシャルが低いと水は移動しにくく、また、水不足では、光合成などの代謝機能が低下するということは存じております。
ilmari さま

ポイントは、「水ポテンシャル維持機構の発現」と言う表現ですね。水ポテンシャルの低下がどのようにして糖含有率の上昇を導くかと言う点に関しては、水分保持力(水ポテンシャル)低下の結果として糖濃度が増加したと考えることが出来ますが、他方で、水ポテンシャルの低下がシグナルとなり能動的に糖の蓄積を引き起こすことがあるかも知れません。このことに関係する論文(下記)がありますので、貴方の大学の農学部か理学部の先生のアドバイスを受けながら読んで見られては如何でしょうか。それでも疑問が解消されないようでしたら、改めて質問をお寄せ下さい。なお、トマトの節水栽培(水ストレス)と糖含有率に関しては、本コーナーで以前にも扱われていますのでご参考にして下さい(例えば、登録番号0792)。

(記-論文)
題目:水ストレス下および塩ストレス下で栽培したトマトにおける果実内成分の比較
(Comparison of Chemical Composition Contents of Tomato Fruit grown under Water and Salinity Stresses)
著者:圖師一文、松添直隆、吉田 敏、筑紫二郎
掲載雑誌:植物環境工学(Shokubutsu Kankyo Kogaku); Vol. 17, pp. 128-136
(2005)
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2012-08-25
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