一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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気孔を開かせるには。。。

質問者:   高校生   たま
登録番号1117   登録日:2006-11-28
普通気孔は昼の明るい時に開いて、で夜暗くなれば閉じますよね。じゃあもし気孔を光の無い夜とか、もしくは暗いところで開かせろということになったら、孔辺細胞にどのような処理をすればいいのですか??教えて下さい!
たま さん

 気孔の開閉について、植物生理学会のホームページ“みんなのひろば”の“植物科学のトピックス”に、木下俊則 先生が「気孔の働きと開閉の仕組み」との題で、非常に詳しく解説されています。先ずこれを読んで、気孔の開閉が植物の葉にとってどんな生理的な意味があるかをよく理解してください。
 次いで、気孔がどうして開くのか、閉じるのかについて詳しく、現在、わかっているところまで丁寧に解説されています。高校の生物の知識では難しいところもあるかと思いますが、他の本も参照してできるだけ、気孔の開閉がどうして進行するかを理解して下さい。孔辺細胞にカリウム・イオンが集まると気孔が開くことは、1940年代の初め、京都大学の今村俊一郎先生が世界で最初に発見されました。このカリウム・イオン濃度の上昇が孔辺細胞に青色光を照射することによって誘導されることは木下先生の解説に詳しく解説されています。
 ところで暗いところで気孔を開かせるにはどうすればよいかのご質問、何のためにそうしなければならないのかわかりませんが、基本的には孔辺細胞のカリウム・イオンの濃度を高くすれば孔辺細胞の膨圧が高くなり、細胞が大きくなって気孔が開くはずです。しかし、青色光なしに、葉の組織で孔辺細胞だけカリウム・イオンの濃度を高くするは困難です。気孔を閉じるとき植物ホルモンのアブシジン酸が働いていますので、アブシジン酸を散布すれば、光が照射されていても葉の気孔を閉じさせることはある程度できます。
 なお、本質問コーナーの気孔で索引すれば、これまでの気孔についての20項目の質問―回答がありますので、これらも参考にして下さい。
JSPPサイエンスアドバイザー
浅田 浩二
回答日:2006-12-05
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